切腹もなかでお詫び(その2)

さて、前回の続きです。

切腹もなかを持参して、怒り心頭の社長のところへ、お詫びに伺うこととなった、担当営業マンとその上司とおまけのTVクルー、( 若い営業マンは前夜眠れなかったそう、)

到着して案内を乞うも、しばらく外で待つように言われます。上司はスーツにネクタイ姿、じりじりと真夏の太陽が照りつけます。10分ほどしてでしょうか、ようやく中へ案内されます。でも、TV局が来ていることは激怒社長は知りません。担当営業マンが姿を見せたことで、よけいに激怒されてしまいます。その剣幕にTVディレクターはあとずさり…「他社に頼むからもういい」とまで言われ、ひたすら、お詫びする上司と営業マン

そこで、上司の方が、切腹もなかを出し、その由来を話し始めました。その流れで実はTV局が一緒であると社長に告げます。すかさず、部屋の中に入るTVディレクター。怒りの矛先をどこに向けていいやら、の社長… 気まずい雰囲気が漂う中

やおら、上司の方が、激怒社長の部品を手にして、そのクオリティの高さを褒めます。とたんに、饒舌に自社の製品の話をし始めた社長、工場の方へ行って、違う部品も上司に見せ始めます。再び、その部品に感心する上司。ここでなんと、激怒社長が笑顔を見せはじめます

そうなんです。この社長は自社製品に責任と誇りをもって全力で作られているのですだから、依頼したことにいつまでも返答のない営業に怒ったのです。最後、上司の人は、「私が監督不行き届きでいけなかったんです。彼(営業)にオーバーワークをさせすぎていました。私が悪いんです。」と謝り、「今後ともよろしくお願いします」とその場を締めくくります。

立ち去ろうとする営業さんに社長が次の具体的な案件を依頼します。この社長さん本当は男義のあるいい人なんだと思います。ここで一件落着なのですが、私は2点気になることがありました。

お詫びに行く時の恰好ですが、上司の人は、スーツ姿にネクタイだったのに、営業マンは白のワイシャツ・ノーネクタイだったこと。(つまり、営業マンの恰好はいつもと同じ?改まった感が無いっ)

●最後の社長さんの具体的な案件の依頼について、営業マンがメモしなかったこと。(書くほどの複雑な内容ではなかったかもしれませんが、真剣度合を示すためにも、即座にメモッてほしかった。)一度失った信頼をとり戻すのは、今まで以上に誠実さを見せるしかありません。

そして、この上司のかたの素晴らしさ、

●ミスの原因を部下一人に押し付けない。

●怒っている社長の気持ちを理解したうえで、怒りをそらすように、こちらから、話題を提供している。

本当に、尊敬に値する立派な上司の方でした。